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ori.studio
$37.00 USD

c-site (c=conversation) は、ひとつのトピックをめぐる学際的な対話を中心に、それを物理的・抽象的に掘り下げていくもので、典型的なインタビュアー/インタビュイーの関係から離れ、異質な「他者」同士の対等なやりとりに焦点を当てます。これまでは、連続して対話を行う形式を取りましたが、本号からは、対話の構造はより流動的になり、その対話形式がどのようにベースとなるテーマと明確な関係を保つことができるかを探っていきます。

このような環境づくりを通して、様々なバックグラウンドや経験、考え方から生まれる視点を組み合わせることで、根源的かつ普遍的なテーマの本質と可能性を理解することができればと願っています。

新しい対話形式:

「距離」をテーマにした 10人の学際的な匿名の対話

本書の対話では、 参加者の身元はお互いに明かされておらず、 対話が終了した時点で初めて明かされます。 これは「距離」の一例であり、 対話とテーマの関係性を生み出す境界線なのです。 このダイナミクスは本書のフォーマットにも表れています。 名前を記号化された10人の寄稿者が背中合わせで語るように、 本書は垂直と水平という対照的な方向性を持つ2つの部分が背中合わせに配置され、 物理的な境界線が両者を分けています。

距離:

風景の中を歩いていて、ふと立ちどまったときに、周囲の環境に「距離」を見いだすことはできるだろうか? 水深が増すにつれて濃くなっていく湖の色のグラデーション、あるいは人間の世界を映し出す小さな鏡のような、足元のアリたちの真社会性にそれを見いだすかもしれない。あるいは、古い原生から新しい植生へのゆっくりとした変化。あるいは、標高が上がるにつれて、徐々に空気が薄くなっていく様子。あるいは、苔で覆われた地面から乾いた砂利のうえに足を踏み入れたときの音や感触の違い。 考えてみると、このようなすべての様々な距離が、私たちの目の前にある風景をつくりあげているのだろうか?

「距離」という言葉は、最初はほとんど目に留まらないものの、よく見ると会話や文章の中で何度も繰り返されていることに気づく。自分と何かの間に「距離はない」というのは、私たちが実際に目の前にあるものの近くにいるということだろうか? 距離は見ることの可能性である。見ることが可能になるためには、わたしと対象との間に距離を必要とする。宮川 淳(1933–1977)。

周囲の環境を理解する上で、自分とすべての他者の関係は、距離によって定義される。私たちの認識の中で、既知のものと未知のものは重なり合っている。 距離があることで、私たちは他者と共有する目に見えない認知関係を見ることができ、また距離が極端に離れすぎていたり、近すぎたりする場合は、見ることができなくなる。 私たちと距離の間には、どのような帰納的な状態が存在するのか? 距離には、物質的な輪郭があるのだろうか? 創造の行為とその結果の間の距離は、どのようにして測られるのか? 距離を生み出す条件や視点とは? 距離の消失、あるいは出現を感じさせる条件とは? 時間、空間、距離の間には、どのような動的な関係があるのか? 距離は、時間と空間から自由になれるのか? 距離と関係性は同じなのか? すべての物質は、何らかの意味で分割されているのか? 不在、あるいは一時停止と距離は、同等の意味を持つのか? 集合体は、その中にある距離によって定義することができるのか? 距離の境界の先には、何があるのか? 重複する距離は存在するのか? 距離に対するアンチテーゼはあるのか?

寄稿者:ステファン・ケッペル/新津保建秀/金村修/秋山伸/ゲルラッハ・エン・クープ/Nerhol (飯田竜太+田中義久)/マーク・ナグザーム/門脇耕三/松原慈/中村竜治

ページ: 208
サイズ: 190 × 247 mm
フォーマット: ソフトカバー、スリーブケース
言語: 日本語、英語、中国語
刊行年: 2023
出版: ori.studio