c-site.3
c-SITEはda大 in printのメイン出版物の1つ。学科や分野に拘らず、特定のテーマに対し、物質的及び精神的な角度から検討とリレートークを行う形で作られています。典型的なインタビューによく見られる形式に代わり、(a → b) , (b → c) … (j → a) のように順番を追う形式で、参加者 (a) から (b) に質問し、(b) はそれを回答した上で次の参加者である(c)に質問することで、より自然で自主的な対談となることを目指しています。
本号のトピックは「Other(他者)」。
一匹の蛹が繭の中で静かに眠っている。外部の環境は繭によって外側に隔てられている。自然の香りがする枝、かすかな空気の流れ、雑乱に置かれた小石、光、風、雨などは全て「他者」に属される。
この小さな繭が水玉の表面に反射され、もう一つの繭ができる瞬間、その映像からすると元の繭、外部空間、全宇宙などは「他者」に属されるものとなる。
もし今を記録として写真に撮る場合、過去と未来の形は「他者」として見ることができる。ある特定の時間と時間の間に存在する隙間時間/過渡部分にあたるものも「他者」に属されるだろう。
ただ単に時間の角度から目の前の景色を観察する場合、空間に存在する物事は「他者」として見られる。要するに時間を横軸に観察する場合、縦軸の空間は「他者」にあたるわけだ。
ここからまた新しい想像を広げてみよう。頭に浮かぶ景色以外のものは全て「他者」の範囲に入る。当然、我々に認識されなかった内容も「他者」の範囲に収まるだろう。
新しい物事の加入或いは景色の変化によって、「他者」のスケール、距離、イメージ、複雑さなども絶えず影響される。「他者」が細胞のように小さな形で存在することは可能だろうか。内部と外部から「他者」を観察する場合、どんな結果を得られるのだろう。本体は「他者」と重ねあったり置き換えられたり、或いは相互に影響しあったりするだろうか。そこの境界線がぼやけてきた場合、「他者」はどう定義すればいいのか。「他者」と本体の間にある隙間(或いは重ねあった部分)は見つけられるものなのだろうか。時間を決めて観察する方法をとった場合、何種類の「他者」を見つけられるだろうか。「他者」と「余白」はどう区別したらいいのか。物事の根本的な特徴と「他者」の特徴はお互い置き換えられるのだろうか。アウトプットの方法は何種類もあったりするだろうか。我々の視野に入った「他者」は単なる虚構なのだろうか。時間の形をした「他者」と空間の形をした「他者」は共存することができるのだろうか。
寄稿者: 門脇耕三、オリビエ・ゲーテタル、中村竜治、刈谷悠三、蓮沼執太、佐久間磨、能作文徳、澤田育久、マーク・ナグツァム、藤野高志
エッセイ: 伊丹豪
ページ: 137
サイズ: 190 × 245 mm
フォーマット: ハンドアセンブル
言語: 日本語、英語
刊行年: 2021
デザイン: ori.studio
出版: da大 in print