Michel Mazzoni: Rien, Presque
フランス人アーティスト、ミシェル・マッツォーニ(Michel Mazzoni)の作品集。本書は、公共空間や現代特有のモチーフを図像化した、断片的なイメージと眺望を提示します。これらのイメージは、人間の行為によって生み出されたミニマルな彫刻のように機能し、都市景観の分界を何らかの形で表しています。マッツォーニは、これらのイメージを、日没の痕跡、詩的な抵抗の触媒、世界を照らす小さなタイムカプセルとして考えています。ヴィレム・フルッサー(Vilém Flusser)の哲学思想のように、本書は「ものの状態」について書かれており、もの自体よりも、もの同士の関係性が重要視されています。私たちはこれらのイメージの中に、身近なもの、ありふれたもの、日常に内在する美意識を発見します。本をめくっていると、最初はバラバラだったイメージの間に関係性が見えてきます。繰り返される形は、抽象的な物語へと凝縮された、目に見えない連結線となります。
本書のコンセプトは、著者、出版社、グラフィックデザイナーが密接に協力して作り上げたものです。イメージの読み方、内容、引きつける力といった本質に迫った、シンプルでミニマルな本を作るというアイデアです。グラフィックデザイナーのヴィクトールが手がけた、イメージの構成とリズムが印象的です。画像間の反響現象は、さまざまな読解の可能性を開きます。エリック・スシェールの詩的なテキストは、ページ上に小さな断片的な段落で表現され、この本の重要な要素となっています。本の外観(紙、寸法、厚さなど)は、この本を時代を超えたオブジェに仕上げています。
ページ: 320
サイズ: 200 × 280 mm
フォーマット: ソフトカバー
刊行年: 2022
デザイン: Viktor Van den Braembussche, Studio Luc Derycke
出版: MER. B&L