Ikuhisa Sawada and Marc Nagtzaam OTHERS : Segment 2, 3
「OTHERS」プロジェクトの第一作目と並行して進行する本書では、遠く離れた二人のアーティストが交差する道をたどりながらも一体化し、異なる到達点へと至る過程が描かれています。この新刊では、東京とアントワープという異なる場所で開催された二つの展覧会が、両者の到達点として鮮明に示されています。両アーティストは独立して作品制作を行いましたが、互いの影響が積み重なり、空間と時間を超えた複雑な構造が生み出されました。
本書は、二つの独立した異なるオブジェクトが一つのオブジェクトとして結び合わさることで構成されています。それぞれのオブジェクトは素材や内容が異なり、それぞれの展示を表現しています。最初は一枚のシートとして始まり、層ごとに交互かつランダムに組み合わされていきます。完全に結合された後、シートは半分に折りたたまれ、二つの展示が絡み合い、対比され、そしてつながります。広大な距離を超えて互いに反映し合う様は、壁が一体となり、異なる手によって描かれた線が軌跡を重ねることで、並行して存在する二つの事象のように現れます。こうして、コラボレーションは視覚化され、具体的な形として現れるのです。
澤田育久(1970)
写真家。金村修ワークショップ参加。2014年よりオルタナティブ・スペース「The White」を主宰。カメラが持つ記録性や機械性を利用して、日常的な視覚で認識されていない、新たなものの見方を発見することを試みています。 2011年より継続的に取り組んでいる作品、“closed circuit”では、多くの人が見知っている公共の場所(駅)で撮影された写真を大きくプリントし、展示空間の中で重層的に展示。鑑賞者が写真の間を歩くことでイメージ同士が干渉し、関係性の解体と再構築によってもたらされる新たな風景の発生を試みました。主な展覧会として、αMプロジェクト2017『鏡と穴-彫刻と写真の界面』vol. 2(キュレーター:光田ゆり/2017/αM/東京)、「space/guide/ volume」(2021/CAVE-AYUMIGALLERY/東京)、「Export/Import」(助成:オランダ王国大使館/2021/The White/東京/ps. K_o_t_/アムステルダム/オランダ王国大使館/東京)、1年間にわたる毎月新作による連続展「closed circuit, monthly vol.1- vol12」(The Gallery / 東京)、『BIENNALE DE L'IMAGE TANGIBLE』(2021/パリ)など。 アートブックフェア/アートフェアとして、「New York Art Book Fair」(2018 /ニューヨーク)、「Hong Kong ART BOOK FAIR」(2019/香港)、「SWAB Art Fair」(2022/バルセロナ)他に参加。2017年に自身のレーベル“The White”より「closed circuit 」、2018年にRONDADEより「substance」刊行。2021年にda-in-printの「c-site.3 : Other 他者」に参加。
マーク·ナグツァーム (1968)
ホーフプラート(オランダ)を拠点に活動パターンや反復という一つの主要な主題に基づいた作品群を制作しています。彼は、情報の断片を集めるために無限の探索をするように、線、グリッド、円、単語や文章を使って制作し、彼の作品の反復とグラフィック構造は、ミニマリズムやコンセプチュアルな美学を彷彿とさせます。ナグツァームのドローイングのほとんどは、グラファイトの表面を暗く塗りつぶすことで構成されています。建築やグラフィックデザインの抽象化された要素、ファウンドフォトのディテール、以前のドローイングの一部などが、すべての作品シリーズの出発点となっており、これらの素材は、点、線、平面という基本的で初歩的な手段で還元され、ある種の構造を構築しています。近年の主な個展に、「Various, Elsewhere, Ongoing」(2020/['ka:jeta:n] Raum für Kunst/ベルリン)、「Regular Features」(2019/art3/ヴァランス)、「Regular Features」(2019/Archiv/チューリッヒ)。デュオ展として「 Dialogue(with Meryem Bayram)」(2021/ Fred & Ferry/アントワープ)、「Regular Features(with Mark Manders)」(2019/Enter Enter, Space for Books/アムステルダム)。グループ展として「2003 - 2023, PSD」(2023/ProjecteSD/バルセロナ)、「Unboxing Aspen 5 + 6」(2022/Estrany-de la Mota/バルセロナ)、 「Regular Features and Borrowed Space (curated by M.N.)」(2020 / ProjecteSD, Barcelona (ES)、「 One way or another(with Hans Demeulenaere)」(2019/SMAK,/ゲント)、「Doppelgänger(with Hans Demeulenare)」(2021/De Garage/メレヘン)、「Minstens 1 ½ uur en terug」(2021 / De Warande/トゥルンホルト)、「Kajetan Presents:」(2021/['ka:jeta:n] Raum für Kunst/ベルリン)など。近年の著書に「Present」(2023/ Roma Publications 438)、「Farben」 (2022/ Roma Publications 416)、「Borrowed Space」 (2019/Roma Publications 376)など。
ページ: 120
サイズ: 220 × 297 mm
フォーマット: ソフトカバー
言語: 英語
刊行年: 2024
出版: ori.studio