Language: The documentation of WOTA office project /mtka
建築事務所「mtka」によるリノベーションプロジェクトのドキュメントブック。「mtka」は約70年前に建設された近代建築である旧銀行を、小規模分散型水循環システムの研究・開発を行なっている「WOTA株式会社」のラボ・オフィスへとリノベーションし、その過程を作家へ記録するように依頼しました。本書では、既存建築に対する「mtka」のアプローチによって生まれた特異な空間の質の正体を露わにし、後世へ引き継ぐためのドキュメントとして構成しています。
「mtka」は、誰もが共有可能な15のランゲージを空間に入れ込み、受け継いでいける文脈に上書きし、動的な建築としてリノベーションを行いました。そして、日本の東北地方に根ざす「ぼろ」の手立てをリノベーションの手立てに置き換え、既存建築に含まれる文脈と、必要な機能性を担保するために加えるエレメントを結びつけました。その結果、既存建築に備わっていた空間の質や時間がオーバーラップされ、新たな表情を持った豊かな空間として生まれ変わっています。また、窓の小口には新旧の部材による時間軸のレイヤーが現れており、既存建築との新たな関係性の構築によって、ただ機能として存在していたエレメントさえも意味を持つものへと変化しています。
本書では、動的な建築へのレスポンスとして、後に改修された際に新たに情報を追加したり再編集可能な状態になるよう、ペーパーファスナーによる平綴じを選択し、本文の背には天のり加工を施しています。既存建築との「現在」の関係を紙の束としてパッケージし、建築物と時間の関係から生じるサイクルの中に一つの定点を本という形によって提示しています。
ページ: 128
サイズ: 252 × 364 mm
刊行年: 2023
言語: 日本語、英語
写真: 辻優史
デザイン: 牧野正幸
印刷: Atelier Gray
製本: 鈴木製本
出版: mtka