Baker Salon
台湾人アーティスト、チェン・ティン(Cheng Ting)の作品集。ティンは、描写する対象を物や環境と組み合わせることに長けており、彼女が写真の中に人を配置するとき、それらは舞台の小道具のように、彼女の視覚構成の一部となります。2010年にロンドンに移住して以来、ティンは外国語や外国文化が自分に与えた影響を作品に反映させてきました。懐かしさから手作りの饅頭を焼くようになり、それがきっかけでさまざまな饅頭を作るようになりました※。手仕事のやりがいに安らぎを感じていた彼女は、異国の地での不安を焼くことで解消していました。生地をこねたり焼いたりすることは、彼女の海外生活への対処法であり、その方法は、髪を編むことで人々との交流にも生かされていました。他人の髪に触れ、アレンジし、編み込むことで、一時的な親密さを生み出し、『Baker Salon』に関連したワークショップを開催するまでに至りました。ティンは、自分の理想とする創作スタイルに一貫して、人を舞台の小道具と協力者の中間的な存在として捉えています。被写体とのインタラクションは、彼女のクリエイションの一部であり、クリエイションのプロセスを満たす不確実性は、彼女の作品の活力と有機的な成長を維持するための重要な要素です。
このシリーズは、絵本のような小さなボードブック形式で出版されました。これは、その見た目が作品との距離を縮めるだけでなく、画像をめくるという単純な行為を楽しんでいた子どもの頃の読書体験を思い出してほしいという思いからこの形式が選ばれました。さらに、このプロジェクトでは、作品との相互作用という概念も重視されています。作家は饅頭のレシピを公開しており、この本を読んだ人が新しい「饅頭」を作り、発展させることを期待しています。
※ 饅頭、蒸しパンなどの丸いパンや、髪をお団子状に整える「お団子ヘア」なども「饅頭」と訳されています。
ページ: 30
サイズ: 138 x 185 mm
フォーマット: ソフトカバー
言語: 英語
刊行年: 2016
出版: dmp editions