Service – Issue 1

2024年に創刊したチューリッヒのファッション誌『サービス（Service）』の創刊号。スイスの出版社「Edition Patrick Frey」の編集を長年総括しているアンドレアス・コラー（Andreas Koller）が手がけています。

本創刊号では、アルプス地方周辺（ミラノ、ミュンヘン、チューリッヒ、ウィーン）を特集。アーティストが手がけてきた作品シリーズからファッション・エディトリアル、ルポルタージュ、アーティストのポートフォリオの複写まで多岐にわたります。

家の玄関先、チューリッヒのひっそりとした通り、すぐ近所の周りの環境を振り返るところから広がり、アルプス地方の都市チューリッヒ、ウィーン、ミュンヘン、ミラノといった、アンドレアス・コラーを取り巻く環境が反映されています。アルプスの山々、その窪地、山々があることで隠されている場所、トンネルといった物理的なものだけでなく、アルプスは想像力の領域としても在り、その想像の糸がページを通して紡がれています。テーマと作り方においても物理的な部分に重きを置いてどっぷり浸かりこんでいる本誌は、本の素材を触覚的に楽しむことができ、印刷物でしか存在し得ない喜びを感させます。

デジタル時代と20世紀後半の印刷文化を融合させたいという製作陣の情熱に向けたこだわりが本誌の寄稿にはっきりと現れており、それを束ねる傘として、「場所」と「ある種の折衷的なポップな感性」が機能しています。本号はまた、一種のジョージ・オーウェル的（作品『1984年』の中で描いた未来の全体主義社会的な監視社会）な動物の反乱も明示しており、もしかしたら擬人化された動物たちが、不在のスターやセレブリティの代わりを務めているのかもしれません。今号に寄せられたエッセイ、インタビュー、文学的テキスト、ファッション・エディトリアル、アーティスト陣の寄稿を読み解くことにより、私たちは周囲との新たな関係の可能性を発見するかもしれません。もしくは、単純に軽快なエンターテイメントとして楽しめます。

寄稿者: Contributors: John Armleder, Marc Asekhame, BillyBoy* & Lala, Stefan Burger, Chaumont- Zaerpour, Bernard Faucon, Fredi Fischli & Niels Olsen, Sylvie Fleury, Pippa Garner, Ursina Gysi, Janneke van der Hagen, Ingeborg Harms, Carlijn Jacobs, Fleur Jaeggy, Philippe Jarrigeon, Matthew Lutz-Kinoy, Dean Kissick, Guy Marineau, Fabian Marti, Walter Pfeiffer, Raffaella Castagnola Rossini, Tim Street-Porter, Monika Tatalovic, Jonas Unger, Lukas Wassmann.

ページ: 276
サイズ: 205 x 275 mm
フォーマット: ソフトカバー
言語: 英語
刊行年: 2024
出版: Service