←
→
大町晃平: moon echo
KOPO
写真家、大町晃平が2020年から2023年までの月を撮影した作品集。月を胎児に見立て、撮影した写真をエコー写真に使用されている感熱紙にプリントしています。
ある日ふと、私は実家の倉庫に望遠鏡があることを思い出し、母親に連絡を取り東京の自宅へ送ってもらった。私が住む部屋は南向きで周囲には白道を遮る建物がない。そのため天気が良い日には昼夜問わず月を観ることができる。窓辺に出しっ放しにした望遠鏡を月へ合わせ、ただ眺める。そんな日々が何日も続いた。2020年1月2日。その日は半月が少し欠けたくらいの月で、磨りガラスの窓越しに南西の空で光るそれを確認できた。いつものように望遠鏡を月へ向け接眼レンズを覗くと、周囲がケラレて黒く縁取られ、その真ん中に膝を折り身体を丸めた子どものような月の姿があった。この日から私には月がエコー写真に写る胎児に見えるようになった。(本文より抜粋)
大町晃平
1990年生まれ。東京と滋賀を拠点に活動。生命をテーマに、歴史、科学、個人的なテーマからインスピレーションを得て作品を制作。既存のメディアを用いた写真表現を探求し続けている。
ページ: 384
サイズ: 135 x 205 mm
フォーマット: ソフトカバー
言語: 日本語、英語
刊行年: 2024
出版: KOPO